給与を支給する際の、社会保険料、社宅費用等賃金控除は、法令に別段の定めがある場合、労働者の過半数組合(組合がない場合は、労働者の過半数代表者)との書面による協定があり、かつ賃金控除に関する根拠規定等がある場合に、することができます。

賃金控除ができる場合

賃金は、原則として全額を支払う必要があります(労基法24条1項、全額払いの原則)。
もっとも、以下の場合には賃金控除をすることが例外的に認められます。

1.法令に別段の定めがある場合
例:所得税、社会保険料等

2.労働者の過半数組合(組合がない場合は、労働者の過半数代表者)との書面による協定がある場合
例:社宅の費用、親睦会費、旅行の積立金等

また、「2」の協定を結ぶことは、労基法上の罰則の適用を免れる効果があるのみであるとされており、私法的効果を持たせ、適法に賃金控除を行うためには、賃金控除に関する就業規則や労働契約書等の根拠規定、あるいは対象労働者の個別の同意が必要となります。

外国人労働者には賃金控除について丁寧に説明する必要がある

なお、外国人労働者の場合、賃金から税金等が引かれるという認識があまりない場合もあり、説明をきちんとしていないと、勝手に賃金を減らされたなどとトラブルになることがあります。

賃金控除を行う場合には、外国人労働者に対して事前に丁寧に説明をしておく必要があります。

外国人の社会保険等への加入

また、手取り額が減ることから、社会保険等の加入を拒否する外国人労働者もいますが、外国人労働者であっても日本人と同様に要件を満たす場合には、社会保険等に加入させる必要があります。

そのため、雇入れ時に、外国人労働者が理解できるように説明の上、適正な手続きをとることが必要です。

外国人雇用管理指針の賃金等に関する内容

外国人雇用管理指針においても以下の記載があります。

・外国人雇用管理指針(抜粋)第四、二、2、口 賃金に関する説明

事業主は、賃金について明示する際には、賃金の決定、計算及び支払の方法等はもとより、これに関連する事項として、税金、雇用保険及び社会保険の保険料、労使協定に基づく賃金の一部控除の取扱いについても、母国語等を用いる等、外国人労働者が理解できるよう説明し、当該外国人労働者に実際に支給する額が明らかとなるよう努めること。

・外国人雇用管理指針(抜粋)第四、四、1制度の周知及び必要な手続の履行等

事業主は、外国人労働者に対し、労働・社会保険に係る法令の内容及び保険給付に係る請求手続等について、雇入れ時に行政機関が作成している多言語対応の広報資料等を活用する、母国語等を用いて説明する等、外国人労働者が理解できる方法により周知に努めること。

また、労働・社会保険に係る法令の定めるところに従い、被保険者に該当する外国人労働者に係る適用手続等必要な手続をとること。