日本で労務を提供する外国人労働者を解雇したが、外国人労働者は納得せず、訴訟提起をした場合、どこの国の法律が適用されるのでしょうか?

原則として日本法が適用されますが、契約書の定めに従います。

適用法令について

雇用契約書などにより、準拠法(当事者の一方が外国人であるなど、事件の全部または一部が日本と外国にまたがっている事件に適用される日本法または外国法のこと)を選択していれば、それにより(法の適用に関する通則法7条)、準拠法を選択していない場合、密接関係地法が適用され(同法8条)、その際に、労務を提供すべき地の法が、密接関係地法と推定され、適用されることになります(同法12条)。

そのため、上記のケースでも、準拠法を日本法としていれば、日本法が適用されます。

準拠法を選択していない場合

準拠法を選択していない場合、労務を提供すべき地の法である日本法が密接関係地法と推定され適用されることになります。

準拠法を特定の外国法としていれば、日本法(労基法、労契法等)が適用されず、当該特定の外国法が適用されるようにも思われますが、法の適用に関する通則法12条1項において、「労働者が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を使用者に対し表示したときは、当該労働契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。」と定められていることに注意が必要です。

強行規定とは

強行規定とは、当事者の意思に左右されずに適用される規定のことをいいます。

すなわち、解雇制限に関する労契法16条(無期雇用労働者)、17条(有期雇用労働者)も強行規定ですので、準拠法を特定の外国法としていても、労契法16条、17条など特定の強行規定を適用する旨の意思を使用者に表示したときは、当該規定が適用されることになります。

疑義を防ぐためには、雇用契約書などで準拠法を合意しておくとよいでしょう。