現在雇用している外国人労働者に退職してもらうため、退職勧奨をしたい場合、どのような点に注意すればよいでしょうか?

外国人労働者に退職勧奨をする場合は、自由な意思に基づく退職の意思表示を行わせるよう注意し、必ず書面に残しましょう。

退職勧奨とは

「退職勧奨」とは、使用者から労働者に対して、退職(使用者と労働者との間の労働契約の解約)の意思表示を行うよう、働きかける行為を言います。

退職勧奨は事実行為であり、特に法的規制があるわけではなく、原則として自由に行うことができます。

ただし、退職強要であると判断されると、強迫に基づく意思表示(民法96条1項)として取り消されたり、不法行為(民法709条)であるとして損害賠償を請求されるおそれがあります。

退職強要と判断されないための注意点

退職強要と判断されないよう、以下の点に注意することが重要です。

・「退職願を提出しなければ(懲戒)解雇する」などと二者択一で迫らない。
強制わいせつ等の犯罪行為が行われた場合でも、(懲戒)解雇が必ず有効と判断されるわけではありません。

・多人数での面談や、当人が退職に応じないと言っているにもかかわらず、長時間、執拗に退職勧奨することは避ける。

・当人が退職にそれほど積極的というわけでなければ、自由意思で退職の意思表示をしたと言いやすくなるように一定の期限は切った上で翌日等に改めて辞職届等を提出することを認める。

退職勧奨を行うべきか否かの判断基準

退職勧奨は、合意退職または辞職に誘導するもので、労働者が勧奨に応じる見込みがない場合、解雇事由などがなければ、労働者を退職させられないことになり、労使の信頼関係を失ったまま雇用関係が続くおそれがあります。

また、当人が退職に応じないと言っている場合、その後の退職勧奨が退職強要と判断されるおそれもあり、退職勧奨を行うか否かの判断にあたっては、退職勧奨に応じる見込み、解雇事由の成否によっても、退職勧奨を行うべきか考慮すべきです。

退職勧奨を行う際の注意点

退職の意思表示の有無については、特に争われることが多いため、必ず「退職願」や「退職合意書」といった書面を作成させ、退職の意思表示を書面という形で証拠に残しておきましょう。

特に、外国人労働者の場合には、日本語能力の問題から、十分な意思疎通ができず、理解しないままに退職の意思表示を行い、後にトラブルとなる可能性が日本人の場合よりも高いと思われます。

したがって、当該外国人労働者の日本語能力に難がある場合には、母国語に訳した文書で説明をしたり、場合によっては、通訳を用いてコミュニケーションを取ったりする等のプロセスを経た上で、退職の意思表示をさせることも検討が必要です。