外国人雇用にあたっては、入管法、技能実習法、労働法(労基法、労契法、最賃法労働安全衛生法、短時間有期雇用労働法)、労働施策総合推進法(旧雇用対策法)などが適用されます。これらの法律に違反した場合、外国人労働者にも、企業の担当者、企業にも刑罰が科せられる可能性があります。

外国人の雇用に適用される法律

外国人雇用にあたっては、主に以下の法律が適用されます。

・入管法

・外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)

・労働法(労基法、労契法、最賃法労働安全衛生法、短時間有期雇用労働法)

・労働施策総合推進法(旧雇用対策法)など

ところが、これらの法律に違反しているケースが少なくありません。

これらの法律に違反した場合、外国人労働者にも、企業の担当者、企業にも刑罰が科せられる可能性があります。また、外国人労働者においては強制退去事由となったり、その後の日本への入国が制限されることもあります。

主なものは以下のとおりです。

外国人に適用される主な罰則

オーバーステイ

入管法70条1項5号により、3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金のいずれか、または双方

資格外活動

収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を「専ら」行っていると明らかに認められる者は、刑罰が重くなり、入管法70条1項4号により、3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金のいずれか、または双方

他方、「専ら」ではなく、収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行った者は、入管法73条により、1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金のいずれか、または双方

旅券または在留カードの携帯、警察官等から提示を求められたときの提示に違反した者は、入管法23条、76条により、10万円以下の罰金

使用者に適用されるもの

不法就労助長罪

入管法73条の2が適用され、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金のいずれか、または双方

①事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

②外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者

③業として、外国人に不法就労活動をさせる行為または前号の行為に関しあっせんした者

不法就労とは

①不法入国者や不法残留者など、正規の在留資格を持たない外国人が行う就労活動

②就労が認められていない在留資格の外国人が、資格外活動許可を受けずに行う就労活動

③就労が認められている在留資格を持つ外国人でも、その在留資格で認められた範囲を超えて行う就労活動

※無過失の場合、不法就労助長罪に問われませんが、そのようなケースは考えにくいです。

両罰規定

法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して不法就労助長罪等の罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても、300万円以下の罰金刑を科すことができます(入管法76条の2)。

労基法、最賃法、技能実習法違反

外国人労働者を雇用する場合、日本人労働者を雇用する場合と同様、労基法、最賃法などの労働関係法令が適用されます。

そして、技能実習生を雇用する場合、技能実習法も適用されます。

技能実習生について、平成26(2014)年に約4800人だった失踪者は、平成30(2018)年には約9000人に増え、増加傾向にあるとされています。
その背景には、実習生の総数が増えていることもありますが、最低賃金を割り込む低賃金で働かせたり、違法な長時間労働などが原因と指摘されています。

大手自動車メーカーや大手電機メーカーでも、技能実習法違反や労基法違反を理由に技能実習の認定が取り消されています。

労災事件

また、日本語能力の不十分さなどにより、外国人が労働災害に遭うケースもあるので、使用者は母国語で安全教育を行うなどして安全配慮義務(労契法5条)を尽くすべきです。