遅刻や欠勤を繰り返す外国人労働者に対して、会社はどのように対応をすればよいのでしょうか?

外国人労働者が遅刻や欠勤を繰り返す場合には、口頭や書面での注意指導、懲戒処分を行う必要があります。

注意指導の方法

遅刻や欠勤を繰り返す場合には、まずは注意指導を行う必要があります。特に外国人労働者の場合、文化や価値観の違いにより、時間に対する感覚が異なる場合がありますので、労働契約に従って始業時刻から労働を開始する義務があること、守れない場合は処分の対象となることについて、外国人労働者がその内容を理解できる方法により説明を行う必要があります。

また、注意指導の方法として一般的には、①口頭で注意を行い、それでも改まらない場合は、②文書での注意を行います。
もっとも、必ずしも口頭注意から始めなければならないわけではなく、文書の方が伝わりやすい場合は、文書での注意からでも構いません。
注意指導を行っても改善が見られない場合には、③懲戒処分(けん責・戒告等の軽い処分から行う)を検討することになります。

懲戒処分について

なお、懲戒処分については、労契法15条が「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、①客観的に合理的な理由を欠き、②社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」と定めており、就業規則に規定がなければ懲戒処分を行うことができませんし、相当性の判断にあたっては、職務懈怠等の場合、職務懈怠の回数・期間、状況や悪質さの程度、正当な理由ないしやむを得ない理由の有無、労働者の行為の結果及び情状並びにこれに対する使用者の対応等、業務に及ぼした影響、使用者からの注意・指導・教育の状況、使用者側の管理体制、労働者の過去の処分歴、労働者の改善の見込みないし改悛・反省の度合い、過去の先例の存否、同種事例に対する処分との均衡などが考慮されます。

また、就業規則上、弁明の機会(労働者の言い分を聞く機会)や懲罰委員会の定め等、懲戒に関する手続きについての規定がある場合には、その規定に従って、手続きを進める必要がありますので、留意が必要です。

懲戒解雇を有効とした事例

それでも改まらない場合は、普通解雇や重い懲戒処分等についても検討をすることになります。裁判例では、懲戒解雇を有効とした以下の事例があります。

懲戒解雇を有効とした以下の事例1

工場の従業員が6か月間に24回の遅刻と14回の欠勤を、1回の遅刻を除き、すべて事前の届出無しに行い、その間の上司の繰り返しの注意や警告にもかかわらず、かかる態度を継続したという事例

懲戒解雇を有効とした以下の事例2

編集業務から福利厚生部への配転後の業務過誤に対する各種懲戒処分の後、2か月近くにわたって連続的に欠勤し、度重なる職場復帰命令にも従わなかった事例

メンタル疾患等に起因している場合

なお、遅刻や欠勤を繰り返す場合、その理由が単なる怠惰ではなく、メンタル疾患等に起因している場合があります。その場合は、休職を命じて休ませることをまずは検討する必要がありますので、ご留意ください。