年俸制を取り入れる際には、自由に賃金を変更できるわけではないこと、割増賃金の支払いが必要となることに留意する必要があります。

外国人の賃金を年俸制にする場合の留意点

年俸制とは

年俸制とは、賃金額を労働者の業績等に関する目標の達成度を評価して、年単位に設定する制度のことをいいます。

なお、年俸制でも、労基法24条2項の毎月1回以上定期払いの原則が適用されるため、分割して毎月賃金の支払いをする必要があります。

外国人の賃金を年俸制にする場合の留意点

外国人労働者に対して年俸制を取り入れ際の、留意点についてご説明します。

年俸制を取り入れる際には、
① 自由に賃金を変更できるわけではないこと、
② 割増賃金の支払いが必要となること
に留意する必要があります。

賃金額の変更について

年俸額の決定後、年度途中に、使用者が一方的に引き下げることは原則としてできません。

また、年度の更新時の変更についても、使用者と労働者との間で年俸額に折り合いがつかなかった場合、使用者が一方的に賃金額の変更ができるかが問題となります。

この点、年俸額の合意不成立の場合に、使用者の一方的決定権限が認められるためには、年俸額決定のための成果・業績評価基準、年俸額決定手続、減額の限界の有無、不服申立手続等が制度化されて、就業規則等に明示され、かつ、その内容が公正な場合に限られるとした裁判例があります(日本システム開発研究所事件・東京高判平20・4・9)。

そのため、年俸制の導入の際には、年俸額に関する仕組みを就業規則等で明確化しておく必要があります。

割増賃金の支払いについて

年俸制の場合も、法的規制が変わるわけではありませんので、管理監督者(労基法41条2号:管理監督者に該当する場合は、時間外労働、休日労働に対する割増賃金の規定は適用されませんが、深夜労働に対する割増賃金の規定の適用はあります。)に該当する場合等を除き、割増賃金の支払いをする必要があります(労基法37条)。

なお、年俸として支払う給与額に、一定時間相当分の割増賃金を含めたい場合は、基本給部分と割増賃金部分を明確に区分して設定をし、労働者に分かるように、就業規則(賃金規程)、労働契約書等に明記をする必要があります。

日本の労働関係法令の適用について

日本国内で就労する限りは、日本人であるか、外国人であるかを問わず、原則として労働関係法令の適用があります。そのため、雇用契約継続中の問題の多くは日本人とも共通のものとなります。

もっとも、各々の外国人の母国の雇用慣行と日本の雇用慣行が異なる場合もあり、お互いに当たり前であると思っていることが通じない場合も生じえます。

上記のように、外国人の雇用中には、様々なことに注意する必要があります。